これは鶴田廣巳「岐路に立つ日本財政」のレジュメです


     岐路に立つ日本財政  鶴田廣巳

               『経済』20256月号所収  2025.5.25 刑部泰伸

 

 1 日本財政――4つの危機 

 

[1の危機] 世界最悪の債務国家化と財政破綻のおそれ

 

2024年末 国・地方の長期債務残高 1315兆円 実質GDP236%:世界最大の借金

にもかかわらず支障なく見える要因

1.国債の海外保有分が少ない  2.対外純資産保有471兆円

3.個人金資産残高2199兆円  4.租税負担率 OECD36カ国中22番目:増税の余地あり

しかし

海外投資家の国債保有比率:上昇 先物で7割前後、現物でも5割近く

 2011年以降、貿易収支:赤字傾向 デジタル赤字拡大 → 「双子の赤字」

 金利上昇続けば 国債費上昇、予算編成困難に 社会保障・インフラ整備等削減へ

経済政策の見直しによる経済再生が抜き差しならない課題

 

[2の危機] 財政運営の無責任さ極まる放漫

 

プライマリーバランスの2025年度黒字化(2017年設定) 未達成 原因⇒

1)毎年の巨額の補正予算 補正予算:翌年度繰越学:不用額 → 杜撰な予算編成 

   2020年度 73兆円:30.8兆円:3.9兆円

    21年度 36兆円:22.4兆円:6.3兆円

    22年度 31.6兆円:18兆円:11.3兆円

2)基金の乱用 規定する法律なく、いったん造成されると国会議決なく数年支出可能

   20年度末8.3兆円、21年度末12.9兆円、22年度末16.6兆円 以前は数千億円

3)巨額の予備費の計上 2022年度3年間で25.5兆円 従来最大でも年1兆円 

その他 国庫債務負担行為や継続費の乱用

特例法の改悪(1年限定を複数年に)による赤字国債依存

余剰財源をかき集め防衛増税を先送りする防衛費の激増

 医療保険の上乗せを財源にする少子化対策

 異次元の金融緩和=事実上の日銀の国債引き受け

 

[3の危機] 財政破綻がもたらす、くらしの危機

 

IMFの警告(2023年の対日4条協議声明)

 公的債務のGDP比が上昇傾向 → 金利急上昇、ソブリン・ストレスかかる可能性(注)

国が持続不可能な財政状況に追い込まれる要因(2017IMFスタッフ・レポート)

 巨額債務累積により金融市場で起債が困難になる可能性

 主要なマクロ金融変数(借入コスト、為替相場、経済成長など)の変化

 → 日銀の金利引上げの成り行き次第で財政破綻の引き金になる恐れ

   利払費・国債費の大幅上昇で予算編成が困難に

 

*防衛費と少子化対策 安定財源なしにいろいろかき集め増税隠し

☆防衛費

防衛力整備計画(2327年度) 5年間で43兆円 規模ありきのGDP2

 財源:歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金、防衛増税

 → 増税以外は安定財源でない 増税も総額不明で時期先送り

    所得増税は復興特別所得税の半分を転用 その他、建設国債?!:問題満載

☆こども・子育て政策(加速化プラン)3.6兆円の財源

 既定予算の活用1.5兆円、社会保障の歳出改革1.1兆円、医療保険から支援金1兆円

 → 高額療養費の上限引き上げなど社会保障削減、医療保険料からは筋違い

 

⇒ 物価上昇と低賃金、高い相対的貧困率等々、財政ストレスはくらしの危機へ

  大災害・感染症等のリスク対応困難で財政破綻へ

 

(注)ソブリンは英語(Sovereign)で「国王」「最高の」などを意味し、国債や政府機関債など、各国政府や政府機関が発行する債券の総称。 ソブリン債は、世界銀行などの国際機関が発行する債券も含まれ、ソブリン債を投資対象とする投資信託もある。

 

     [4の危機] 二重の「主権」なき「租税国家の危機」

 

主権:国家主権と国民主権

 日本はいずれも空洞化 対米従属、国会の熟議なしの政策決定

敵基地攻撃論に踏み込んだ防衛政策の転換 二重の空洞化の象徴

ムダな防衛予算の激増 財政破綻の危機  世界最悪の債務国家化:租税国家の危機

 

 

 2 歪む税制と社会保険制度 

 

     基幹税としての所得税の衰退

1990年代以降の所得税 金額・構成比・GDP比で大幅に減少

原因 最高税率の引下げ・税率刻みの簡素化・不況の長期化・賃金低迷・大幅減税実施

*税率 1987年(消費税導入前):10.560%(12段階) 99年:1037%(4段階)

  2015年以降:545%(7段階)

 最高税率引上げたが、適用されるのは約10万人、納税者全体の0.2%だけ

90年代の一連の減税

  94年:20%定率減税(所得税3.8兆円、住民税1.7兆円)

  95年:5.5兆円所得減税(所得税3.8兆円、住民税1.7兆円)

  98年:4兆円規模の所得税・住民税の特別減税

  99年:当面期限なしの総額9.4兆円減税(4兆円の所得税・住民税減税を含む)

     99年の定率減税(4兆円減税のうち3.5兆円分):06年に半減、07年に廃止

 →財政赤字の大きな要因、高額所得者優遇・格差拡大←長年にわたる資産所得税優遇

 

     効果のみられない法人税減税

 

基幹税としての地位の低下 原因⇒

1)国際的な税率引下げ競争に対応して、90年代以降税率引下げ

基本税率:42%(1987年度) 40%(89年度、消費税導入時)

 37.5%(90年度)、34.5%(98年度)、30%(99年度)、25.5%(2012年度)、

23.2%(18年度) → 18.8%も引下げ:7.5兆円相当

2)租税特別措置によって課税ベースが縮小

98年の引下げの際には課税ベース拡大 しかし2000年代以降は縮小(特別措置拡大)

 研究開発・賃上げ・投資促進税制・中小企業経営強化税制

 

※経済活性化に役立たず 政府税調:検証が求められる  与党税調:成果上げず

 

     所得課税から消費税へのシフト

 

消費税:09年度以降、法人税を上回る、20年度以降、消費税を上回る→ 最大の税収源に

最大の問題:負担の逆進性

財務省は消費税率の低さを強調 しかし問題は付加価値税のC効率性

 C効率性:理論的に想定される最大の税収に対して、複数税率・非課税品目などにより目減りした実際の消費税収がどれだけの比率かを示す

  2020年 OECD37カ国平均0.56  日本(上から4位)0.71→効率よく徴収

消費税導入目的:社会保障財源、歳入構造の安定化

実際には、消費税増収を上回る所得税・法人税の減収 税による逆再分配

  しかも経済活性化に役立たず → 税制を毀損させた一大経済失政

 

     税・社会保険料の負担構造とそのほころび

 

日本の社会保障制度は社会保険制度が中心(独仏と同様)

 低中所得層にとっては社会保険料負担の方が重い

税・社会保険料の動向 主要国比較

 総額のGDP比 英米は低く、欧州大陸諸国は高い 日本は英国やOECD平均に近い

日本は所得課税を大きく減少させ、財・サービス課税と社会保険料を大きく増大

  → 政府が比較的抵抗感の少ない社会保険料の大幅引上げで財源確保

 

日本の社会保障制度 職域と地域で仕組みが異なる

 地域単位の国保・国民年金・介護保険第1号被保険者

事業主負担がないので低所得層には極めて厳しい負担

 → 保険料の未納・滞納の原因

国保滞納 2006年(ピーク時):481万世帯 23年:190万世帯

短期被保険者証・資格証明書 2006年:158万世帯 23年:46万世帯

国民年金 免除者・特例者等・未納者・非加入者:50%近くが該当

 → 膨大な低年金・無年金を生み出しかねない

 

 

 3 税・財政の抜本改革にむけて 

 

     税制改革のあり方を考える

 

2020年度国税のGDP

 所得6.3%(所得税3.6%、法人税2.7%)、消費5.2%、資産0.6

他国に比べ、所得課税の比重の低下が顕著 税制改革の課題⇒

 

1)基幹税としての所得税の再建

1-1)資産所得の分離課税の改革

合計所得1億円前後で税負担率がピークに ← 金融所得の分離低率課税

分離課税率の引上げ 現行20%をたとえば45%に(国税30%・住民税15%)

将来的には総合課税の原則に戻す

1-2)課税最低限の引上げ

課税最低限103万円(給与所得控除55万円+基礎控除48万円):1995年設定

25年度税制改正で123万円へ ただし基礎控除を年収に応じて変える複雑な制度

必需品の物価上昇率35%を繁栄させて140万円ていどにすべき(基礎控除85万円)

1-3)税率構造の改革

現行:5%から45%(7段階) 累進構造が著しく毀損されている 抜本的見直し

 

2)法人税の改革

アベノミクス:経済成長などの好循環実現へ法人税率引下げ → 好循環は来ず

*法人税率を上げ、社会保障拡充・財政再建に役立てることは必須

*租税特別措置の見直しも不可欠 政策効果の徹底検証と不公正な適用の見直し

*内部留保への課税

  売上伸びず、純利益激増 → 低賃金と法人税減税で実現したことは歴然

 → 内部留保課税で、賃金や公的給付拡大、設備投資へ政策的誘導 → 経済活性化

 

3)消費税への対応

消費税が家計の負担を高め不況長期化 近年の高物価で家計負担耐え難い

 逆進性で低所得層には特に重い負担

 → 税率引下げや廃止の主張には根拠ある

その際には税制や財政支出の構造全体の抜本的な改革と一体化すべき

国民の認識と支持がカギ握る

 

4)国税レベルの資産課税の改革

見直し 相続制の基礎控除や税率構造

贈与税の住宅取得や教育費、結婚・子育て資金などの非課税措置

富裕税の創設 課税最低限を純資産5000万円に設定

 超富裕層(5億円以上)2%  富裕層(1億円〜5億円未満)1

 純富裕層(5千万円〜1億円未満)0.5%   → 税収8.2兆円

 

     「年収の壁」と社会保険の租税化

 

「年収の壁」103万円は主婦ではなく学生の問題 親の扶養控除の対象から外れる

25年度所得税法改正:学生アルバイト収入150万円まで、親が特定扶養者控除受けられる

 学生がそこまで働くことがいいのか

社会保険の壁 106万円 130万円

106万円 3要件(年収106万円、週20時間以上労働、従業員51人以上の企業)で

  厚生年金・健康保険加入義務が発生 → 厚生年金給付あるも、当面の手取減少

   25年の年金制度改正で労働時間要件以外は撤廃予定

130万円 パート主婦は夫の扶養基準から外れ、第1号被保険者として

国民年金・国保の保険料負担義務発生 給付は増えず負担だけ増える

社会保険の壁の根本的解決――第3号被保険者制度の廃止実現の前提

 同一価値労働同一賃金の原則に基づき、

働きがいのある労働とジェンダーフリーかつ適正な賃金を保障する社会の実現

 

     財政の抜本改革をめざして

 

日本の財政は深刻な危機にある

単一論点(シングルイシュー)政治が影響力を増しているが、それでは解決不可能

政府の隠蔽体質で正確な情報が伝わらない → 国民の間で認識のズレや誤解

単一論点は財政のあり方を歪める 減税ポピュリズムは将来世代に負担だけをつけ回す

 

「日本の政治と財政運営の極度の劣化が進む現在、主権者たる国民による財政の民主的コントロールがどこまで強められるか、まさしく財政民主主義のあり方がいまほど問われているときはない」(47ページ)。

 

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<資料>

2025524() 「赤旗」

「国債発行で消費税減税」

四つの大きな問題

 参議院選挙を前にして、多くの政党が消費税の減税を主張するようになってきましたが、その内容はさまざまです。とりわけ大きな違いは、減税の財源をどうやって確保するのかという点です。その中で国債を財源にするという主張は大きな問題点をはらんでいるので注意が必要です。

 日本共産党は、大企業や富裕層への減税を見なおして応分の負担を求めることなどで、財源を確保することを提案しています。

 一方、こうした財源確保の方針を示さず、もっぱら国債の増発によって減税財源とすることを主張している政党もあります。しかし、消費税の減税のために安易に国債を増発すれば、さまざまな問題が発生するおそれがあります。それは、主に、(1)国債は不安定な財源である(2)インフレを招く(3)利払い費が暮らしの予算を圧迫する(4)大企業や富裕層への減税を温存・強化することになる―という4点です。順に見ていきましょう。

(1)国債に頼り続けられる保証はない

 一つ目の問題点は、国債は極めて不安定な財源だということです。

 日本共産党が提案している消費税率の5%への引き下げだけでも15兆円、消費税を完全に廃止するには30兆円以上の財源が必要です。1年とか2年とか、期間限定の減税なら別ですが、国債に頼って減税をずっと続けようとすれば、毎年のように国債を増やしていかなければなりません。

 2025年度の政府予算の国債発行額は28・6兆円ですが、これは一般会計の発行分だけで、国債整理基金特別会計で発行される「借換債」(136兆円)や、他の特別会計で発行される「財投債」「GX債」「子ども・子育て支援債」「復興債」などを合わせると、総額は177兆円、国内総生産(GDP)の3割にもなります。政府が財政運営を続けるためには、毎年これだけの国債を誰かに買ってもらわなければなりません。

 一方、国債は株式と同じように、金融商品として市場で売買されています。市場では銀行や証券会社だけでなく、海外の投資家なども自由に売買でき、日本の国債の12%は海外投資家が保有しています。とくに償還期限が1年未満の短期国債の保有額では、海外投資家が54%を占めています(いずれも昨年末)。

 これらの投資家は、日本政府を応援するために国債を買っているわけではありません。国債の売買でもうけるために買っているのです。もうからないと思えば、だれも国債を買わなくなるかもしれません。それどころか、借りた国債を高く売って、値下がりした時点で買い戻してもうける「空売り」という手法でもうけようとする投機マネーも存在します。こうした投機マネーがひしめく市場からの財源確保は、極めて不安定です。消費税減税のために国債を増発すれば、その不安定さはますます増大します。何かの原因で国債が売れなくなったり、借り換えが困難になったりした場合には、減税を続けられなくなってしまうことになりかねません。

(2)「通貨の過剰」でインフレに

 二つ目の問題点は、国債を過剰に発行すれば「通貨の過剰」につながって、「通貨の価格の下落=インフレ」を引き起こすおそれがあることです。

 最近でも、欧米でコロナの時期に大量の国債を発行した結果、その後に年10%近くにもなるインフレが起きました。日本の場合、22年に物価高騰がはじまったきっかけは、日米の金利差によって起きた異常な円安で、輸入品価格が高騰したことです。しかし、為替レートの変動が減っても、物価高騰が止まらず、最近では欧米より日本の方が、物価上昇率が高くなっています。物価高騰には、為替レートだけでなく、国内要因も関係しています。その原因として考えられるのは、長期にわたったアベノミクスの超低金利と、コロナ期以降の国債増発によって、「通貨の過剰」が生じていることです。このことは、日銀の通貨量に関する統計データにも示されています。

 とはいっても、コロナ期の国債増発は一時的なものです。消費税減税のために継続的に国債増発を続ければ、さらに大きな「通貨の過剰」につながり、今以上の物価高騰を引き起こすおそれがあります。もし、欧米で起きたような10%もの物価上昇が起きたら、せっかくの消費税減税の効果は吹き飛び、暮らしはもっと大変になってしまいます。

(3)利払い費が暮らしの予算を圧迫

 三つ目の問題点は、国債金利が上昇して、利払い費が暮らしの予算を圧迫することです。

 国債市場で国債の買い手がみつからなくなれば、買ってもらうために金利を上げなくてはなりません。これまでは、国債の買い手である銀行などから日本銀行が国債を買い上げることで、金利を低く抑えてきましたが、日銀は国債を大量に抱えすぎて、これ以上保有額を増やすのは困難になっています。日銀が購入を控えるようになったため、すでに国債の市場金利の上昇が始まっています。最近の市場金利は10年物国債でリーマン・ショック以降最高、超長期の30〜40年物は過去最高となっています。

 民間銀行などの貸出金利も国債金利に連動するため、国債金利が急上昇すれば住宅ローンや企業の借入金の金利も上がってしまいます。これまでのような超低金利を続けるのは無理だとしても、経済への影響を考えれば利上げは慎重に進めるべきです。ところが、国債を大量発行すると、急激な金利上昇が起きてしまい、暮らしも営業も深刻な事態に陥ってしまいます。

 さらに、金利が上がれば毎年度の政府の国債利払い費も急増し、それが暮らしの予算を圧迫することになります。コロナ期に日本を上回る多額の国債を発行し、その後に起きたインフレの対策として金利を引き上げたアメリカでは、コロナ前には国防予算の半分以下だった利払い費が、今では国防予算を上回ってしまい、財政危機が深刻化しています。トランプ大統領が官公庁の乱暴なリストラを強行し、FRB(米連邦準備制度理事会=アメリカの中央銀行)の議長を名指しで非難してまで利下げを要求しているのも、利払い費の急増への危機感があるからだと思われます。安易に国債を増発すれば、日本でもこうした事態を招きかねません。

(4)大企業や富裕層に増税を求めず「金持ち減税」に

 四つ目の問題点は、「国債発行で消費税減税」ということになれば、大企業や富裕層に減税財源を求めないということになります。

 政府は、「消費税は社会保障のため」と宣伝してきましたが、実際には、消費税の多くは、大企業や富裕層への減税の穴埋めに使われてきました。「大企業・富裕層減税で空いた社会保障財源の穴埋め」と言う意味では社会保障に使われているかもしれませんが、実質的には、「消費税で大企業や富裕層への減税が支えられている」のです。

 大企業や富裕層に消費税減税の財源を求めず、国債の増発で消費税減税を行うということは、とりもなおさず、今度は「国債で大企業・富裕層減税を支える」ということになってしまいます。金利上昇やインフレによって国民が深刻な被害を受けるリスクをはらむ国債を、大企業や富裕層への減税を維持するために大量発行するというのは、あまりに無責任ではないでしょうか。

 さらに、消費税の減税は、お金持ちにも減税をもたらします。富裕層は日常の消費額が多いので、減税額も一般の国民より多くなります。さらに、投資目的でタワーマンションを買った場合なども、建築費にかかる消費税が減税になります。ですから、富裕層に対する所得税の増税を伴わずに、国債を財源にして消費税減税を行ったら、消費税減税が「金持ち減税」になってしまいかねません。

財源は余っているところから

 「日本経済は、資金不足なのだから、国債発行で金回りを良くする必要がある」などといって、国債発行を主張する議論もあります。しかし、日本経済は全体として「資金不足」なのではなく、大企業や富裕層にお金が偏在していることに問題があるのです。

 大企業は4年連続で史上最高益を更新し、500兆円を超える内部留保を抱えています。株主への配当は30兆円以上、自社株買いが20兆円近く、合わせれば消費税収を大きく超える50兆円を株主に還元しています。

 日本の富裕層上位40人の資産は24年に29・5兆円でアベノミクス前の12年に比べて4倍近くにも増えています。23年には所得が100億円を超えた人は43人で、アベノミクス前の3倍以上です。この43人の平均所得は359億円もありますが、所得税はその16・2%しか納めていません。

 消費税減税の財源は、こうしたお金が余っているところ、税負担の余力があるところに求めることが必要です。そうすれば国債に頼って金利が上昇してしまうことも、「通貨の過剰」でインフレが起きてしまうことも防げます。しっかりした財源提案を伴った日本共産党の提案こそ、暮らしも経済も財政も良くする、責任ある減税提案です。

日本共産党政策委員会・垣内亮

 

 

 





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